歯科医院スタッフ 「今回の治療は、自費と保険どちらになさいますか?」
あなた  「(困った、どうしよう…f^^;)」
という経験はございませんか?

「保険だと銀の金属製になるので目立ちます。でも白いと目立たなくてキレイに見えますよ…」と説明するので、話の流れで白い歯を希望すると1本10ウン万円という料金にビックリさせられます。お財布と相談して、今回は「今回は銀のやつでいいか」…と思うこともしばしば。

今回は、当院の自費診療の考え方を紹介します。

保険診療と自費診療はどう違う?
日本の健康保険は、誰もが一定レベル以上の健康を保てるように、それにかかる医療費を国が一部負担するという仕組みです。ここでいう『一定レベル』は決して『贅沢な』治療を目的としたものではありません。

保険診療の3つの特徴を以下に挙げます
 ①診療報酬点数(定期改訂あり)は全国一律である。
 ②自己負担額が1割~3割で済む(残りは国が負担)。
 ③修復物に使用できる材料や治療方法が決められている。

歯医者で聞かれる『保険適用できる範囲でよいですか?』は③の確認です。
例えば修復物に使える金属ならコレ、プラスチック製ならコレ、というように保険診療として決められた治療内容であれば保険を適用できるということになります。

一方、保険が適用できない治療の場合(又は保険を使用しない場合)その治療費は全額自己負担になります。いわゆる『自由診療、自費診療』と呼ばれます。よく耳にするインプラント治療やセラミック治療は保険が適用できない治療方法です。したがって自費診療の取り扱いとなり、料金(診療報酬)はクリニックごとに設定されています。

そもそも自費診療は良い治療なの?
インプラント治療やセラミック治療等の比較的新しい治療は、これまでに研究者や企業の方々が既存よりもっと良い治療方法はないかと研究を重ねて開発されてきたものです。
これらの治療方法は、現在保険収載がされていないだけであり、きちんとした治療方法です。
国が認めていないとか、悪い治療というわけではありません。
しかし、保険適用の取外し式の入れ歯を作る、という選択肢があるのに取り外しをしなくて良いようにインプラントを選ぶのは『贅沢な』治療とも受け取れます。金属の被せ物が保険適用なのに歯の色の自然感のためにセラミックを選ぶのは量販店では買わずにデパートで高価な一点ものの服を選ぶのと似ています。

大事なのは保険診療、自費診療に関係なく、歯科医師がどのような判断に基づいて治療方法の選択肢を提案できるか?だと考えます。
そのため当院でも、患者さんへの事前のアンケートや適応性を鑑みて、保険診療と同様に自費診療の選択肢を紹介しています。

なぜ自費診療をすすめるのか?
歯科医師自身に施すなら(歯科医師が患者なら)迷わず自費診療を選択するからです。

しかし、患者さんには『こういう治療方法が提供できますが、どうされますか?』という選択肢を紹介するまでにとどまります。
当たり前のことですが、「やってほしい」、「やめてほしい」の選択権は患者さんにあるからです。
そして歯科医師は、患者さんが選んだ範囲で提供できる治療方法を考えます。例えば、この治療を取り入れるとこんなことができる…次にこの歯をこうする…というように最高の成果が得られる最短の治療方針を患者さんに説明することになります。

なぜ自費診療は高額なのか?
一言で言うと、歯科医師が最良の治療を施すためにモノやヒトにコストがかかるからです。

モノのコストはセラミック治療やインプラント治療のように治療方法が保険診療と違えば、使用する材料が異なり、場合によって特殊な設備が必要になるといったモノへのコストがかかります。また、これらのモノを使いこなすだけの知識、技術を持つ専門家(ヒト)へのコストが必要になってきます。

当院では専門家と協力します。
自分たちの専門から外れる部分は、その道の専門家に協力を依頼します。

インプラント治療においては、外科的な処置に対し不安に思う患者さんが多いことから、鶴見大学口腔外科の熊谷先生を招聘しています。また、術前の各種検査及び診査~術後の後のメインテナンス等も含めて症例ごとに十分なディスカッションを行い患者さんにとって安全で安心に配慮した体制を取っています。

一方、セラミック治療等については、その技工手技に長けたエキスパートの歯科技工士に修復物の製作を依頼します。専門家と協力することで患者さんによりよい治療を提供できるものと考えています。

まとめ
1.自費診療はあくまで選択肢の1つ
高いお金を払って自費診療を選んだからといって虫歯にならない、一生涯もつ、ということではありません。

2.自分の人生の中でどこにお金をかけるか
笑った時に銀歯が見えても良いか、少しお金はかかるけど目立たないセラミックにするか。
取り外しの入れ歯でもよいか、少しお金を出して自分の歯のように噛めるインプラントを考えてみるか。
インプラントは怖いからせめて自費診療でも目立たない入れ歯を検討するか。

3.どの選択をしても間違いではない
当院では、患者さんがどの選択をしようとも、満足のいく結果が得られることを願っており、そのために最善を尽くします。